化学系のかくし芸:指マッチ

※大変危険ですので、指マッチを行う際は経験者の指導の下に行って下さい。

化学系の隠し芸の一つに、指マッチというものがあります。(http://www.catvy.ne.jp/~sig/experiments/exp_03_1.html など。)指をマッチに見立てて指先に火を灯してみせるという技ですが、うまくやれば全く熱くありません。一般的には、以下の手順で行われるようです。

  • 指を一本、水に十分ひたす。
  • 軽く水を切り、エタノールなどの有機溶媒を指先につける。
  • 着火し、指をまっすぐ上に向ける。

指を上に向けるのがポイントで、上に向けていないと立ち上る炎で熱いかもしれません。指が熱くない理由については水の膜があるだとか蒸発潜熱だとかの説明がなされているようです。

これはこれで面白いのですが、もっと派手な方法がないものでしょうか。あまり紹介されていないようなので、ここでは、学生時代にいろいろ試してみた拡張版指マッチの数々をご紹介します。全て実演経験済みで、可能なことは確認しています。


1)水を使わない指マッチ
実演する際、二種類の液につけるよりも一回で済むほうがシンプルで見栄えがします。そこで、指を水にひたす、という工程を飛ばします。有機溶媒として、メタノールを使うだけです。

  • メタノールを指につける(メタノールをビーカーにとって、指をずぼっと漬ける感じで)
  • 着火し、指をまっすぐ上に向ける

意外にも、熱くありません。メタノールの燃焼熱および蒸発潜熱は、ちょうど水とエタノールの中間あたりに位置します。水/エタノール系でうまく行くのであればメタノールでうまく行ってもおかしくありません(事実、うまくいきました)。メタノールではなく、エタノール50%水溶液でもうまくいく気がします。
メタノール炎は無色であることが多く見えづらいので、メタノールにあらかじめ食塩などを添加しておいて炎色反応を併用するとよいようです。
メタノール以外にエタノールでも試してみましたが、熱さを感じました。エタノール単独で行うのは避けたほうが良いです。


2)指5本で指マッチ
指一本でできるなら片手の指全部で同時にやれば5倍派手になるじゃないか。というわけで5本です。それぞれの指はひらいたままで、独立にしておきます。指ごとに炎色反応の色を変えるなんてこともできます。指同士が近くなると、熱さを感じるかもしれませんので注意して下さい。


3)両手マッチ

  • バットにメタノールを用意する。念のため、消火用の水もバケツかバットに用意しておく。
  • 両手に軍手をはめる。軍手は吸収性の素材のものを使います。
  • 両手を軍手ごと手首までひたす。
  • 両手に着火し、上に向ける。
  • 消火の際は水に手をひたす。

もはやマッチという趣ではなく、たいまつに近いですが。両手から炎が立ち上ります。派手です。
よく燃えますが、燃焼のために軍手表面にメタノールが供給される限り、手は熱くなりません。結構長持ちしますよ。異変を感じたら消火します。リボーンごっこゲームセンターあらしごっこができそうですが、危険かもしれません。