経皮毒についていくつか補足(追記)

・皮膚刺激やアレルギーについて
皮膚に適用する日用品で、皮膚刺激やアレルギーは出ることもあります。しかし、皮膚や子宮に蓄積して毒性を発揮するというのはちょっと考えられません。そういう難分解性・高蓄積性のものは化審法でも規制されてますし、蓄積性が高いと予想される脂溶性のほとんどの成分は動物、一部ではヒトでの体内動態等がチェックされていて、通常の使用では健康リスクにならないことが確認されています。


・バキュームストリッピング
ニューウェイズ関連でよく語られる用語ですが、有害物質を何でも除去できる魔法の技術ではないし、ベンゼンを取り除いてるわけでもありません。バキュームストリッピングそのものは存在します。ある種の*1界面活性剤を製造するときに、副生成物として生成する1,4-ジオキサンを、減圧にして除去する工程であって、FDAのサイトにも乗せる*2くらい有名なものです。界面活性剤の製造工程で「バキュームストリッピング」と言ったら、通常これを指します。バキュームストリッピング自体たいした技術でもないですし、追加コストもほとんどかからないとされています。
1,4-ジオキサンは動物での発がん性が確認されていますが、炎症に関連して生じる発がんとされていて、閾値のある発がん性物質(ある濃度以下では影響がない)なのでたとえ微量含まれていたとしても問題ないんです。発がん性だからといって何でも危険なわけではありません。


ステロイドの経皮吸収率はどれくらいか。
投与量は1.6μg/cm2, アセトン20μLに溶解させて適用。24h後に洗浄した場合。
ヒドロコルチゾンは2%、エストラジオールは11%、テストステロンは13%*3

ステロイド脂溶性であって、比較的吸収率は良いのですが、24時間で10%程度です。

*1:エチレンオキサイドを原料に使うような界面活性剤です

*2:http://www.cfsan.fda.gov/~dms/cosdiox.html

*3:Rober L. Bronaugh et al.,Topical Absorption Dermatological Products: Marcel Dekker,2002: 15 より抜粋