化粧品におけるメチルベンジリデンカンファーは別に配合禁止成分では無い話

小ネタです。
化粧品における法規制は、薬事法と、それに基づく化粧品基準*1によります。
化粧品基準によれば、医薬品成分と別表1の成分は配合禁止になっています。この配合禁止成分のリストは、「ネガティブリスト」と呼ばれ、過酸化水素クロロホルム、水銀などが挙げられています。
また、防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素については使用できる成分が別表3、別表4などで決められており、「ポジティブリスト」と呼ばれます。これ以外の防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素は使用禁止になっています。
おもいきりはしょるとこんな感じ。


Cosmetic-Info.jp*2に気になることが書いてありました。
http://www.cosmetic-info.jp/appendices/past.php?month=200810 から引用します。

欧州委員会の消費者製品科学委員会(SCCP:Scientific Committe on Consumer Products)が、環境ホルモン作用が懸念されているメチルベンジリデンカンファに関する最新の見解を発表しています。
 これによると最終製品への配合量4%までは安全であるとしています。ただし、これは皮膚に塗布した場合を想定しており、エアゾールやスプレーなどによる吸入やリップケア製品による経口での吸収によるリスクは評価できないとのことです。
 メチルベンジリデンカンファ(4-METHYLBENZYLIDENE CAMPHOR)はEUではAnnex VIIに収載され配合が許可されている紫外線吸収剤ですが、化粧品基準別表第4に収載されていない(ですよね?)ので日本では配合禁止成分に該当すると考えられます。インターネットで「メチルベンジリデンカンファ」を検索するといろんな輸入化粧品がヒットするのでちょっと心配。

たしかに検索するといろんな輸入化粧品がヒットするのですが、別にメチルベンジリデンカンファは配合禁止成分ではないので問題ありません。だって、、紫外線吸収剤として使用しなければ、他の目的であれば配合してもいいんですから。
化粧品基準における紫外線吸収剤とは、「紫外線を特異的に吸収する物であって、紫外線による有害な影響から皮膚又は毛髪を保護することを目的として化粧品に配合されるものをいう。」ということですから、化粧品自体を紫外線から保護するために配合する場合は、紫外線を吸収しても化粧品基準でいう「紫外線吸収剤」にはあたらず禁止成分では無いのです。

たとえば、http://www.info.pmda.go.jp/kaisyuu/kaisyuu2007-3-1451.html には、4−メチルベンジリデンカンファーを含む製品の回収が告示されていますが、回収は法定表示がされてないためであって、配合したためではありません。配合は普通に認めらてるんです。